国内旅行記(1)
(・乳頭温泉・徳山ダム・白山スーパー林道・北海道)
乳頭温泉
 平成11年11月29日、以前から憧れていた「秋田県の秘湯「乳頭温泉」へ行ってきました。宿泊しtのは乳白色の温泉で有名な(鶴の湯)でした。出発時にテレビのニュース等で降雪が心配でしたが、高速道路を進行中には心配なかったのが、一般道に入って目的地へ近づくにつれて雪がひどくなり、だんだん心配になってきました。北国の夕暮れは早く、加えて、大雪が降り続けていたために、九州育ちの私はこんなに降り積もった雪の道を運転した経験がなく、心底心細い感覚に襲われました。田沢高原を抜け、八幡平の南に位置する乳頭山麓に向かって車を走らせました。
 道が山道にかかると、辺り一面が銀世界で、雪のない時はきっと素敵なドライブコースであろう曲がりくねった山道が延々と(私にはそう思えました)続き、旅館は本当にに在るのかと心配になってきました。途中で大きな雪かき用の工事車両と擦れ違い、道路の両側面を注意しながら、緩々と細心の運転をしながらでどうにかたどり着いたのを覚えております。辺りはすっかり夜の帳が降りていました。予約してあった為にテレビ等でよく紹介されていた離れの間に宿泊することが出来ました。
 何はともあれ、食事前に一風呂とばかりに沢山有る湯ぶねを一つひとつ賞味しました。白湯の内風呂が2つと黒、白湯の湯が各2箇所、そして中の湯と、パンフレットの案内の通りに全てが幻想的とも言える温泉でした。乳白色の温泉は、まるで牛乳の中に身を沈めているような錯覚に捉われ、温泉特有の硫黄のにおいもそんなに強くなく「遠くから怖い思いをしてでも来た甲斐があった」とつくづく感じました。これから2連泊です。又後でゆっくりと入りに来ようと思いながら、一先ず湯ぶねを後にしたのです。
 料理は山菜料理が主体のとても味わい深い料理で、運んでくれる仲居さんの態度が、遠来の客をもてなすにも十分の親切さと温かみのある態度で「機会があったら又来よう」と思わせるものが有りました。
 「鶴が湯浴みをしているのをマタギが見つけた」と言う言い伝えからこの名が付いたと言われております。
 食事の後は、2つある露天風呂に交互に入って真っ暗な夜空を眺めながら、心行くまで温まったのです。以下その模様をお知らせします。この頃は髪の毛を染めておりました。
 翌日車を見に行ってびっくり。写真のような有様でした。翌日の出発に備えて、少しでも雪を落としておこうと一応雪降しをやってみたのですが無駄な作業でした。
2日目昼間宿の丹前で 左 同 左同(寒そう・・・・・)
愛車もご覧の通り 旅館の窓から 裏庭の雪を楽しむ
離れ呼び物の囲炉裏 露天風呂(中央) 3日目の朝 帰り際に
前同正門前にて 車の雪を払って


徳山ダム
 平成17年11月24日小雨模様のどんよりとした日でありましたが、今年最後の紅葉を見ようと思い立ち「徳山ダム」へ行ってきました。2年前にダム工事が始まったばかり位の頃に一度工事現場近くの国道を通って行ったことが有り、その際、いずれは湖底に沈むと言われた部落を通り、工事のときの水を回流させる為のトンネルなども潜ったりして結構楽しかったので、紅葉を見ながら、再びあのコースを尋ねてみようと思い立って出発したのです。途中から雨が本降りになり、薄い靄さえ立ち込めている谷あいの国道を幾つものトンネルを抜けて進みました。
 途中「道の駅」に立ち寄ったりしながら、工事現場近くまで来ましたが、大工事のせいで以前来たときとは全然異なった道路が出来ており、そろそろ谷あいの道路のはずなのに、と思いながら車を進めて行ったのですが、谷あいどころか、道はだんだん山の上の方へ上って行きます。途中何台ものダンプカーとすれ違い、高い山道の路側を気にしながら進んでいきました。紅葉は既に盛を過ぎた感じはありましたが、雨に濡れた紅葉葉が、かえって趣を添えて迎えてくれました。
 どうやら道を間違えたような気がして一旦元来た道へ戻り、途中の展望所でダムの工事現場を見ることにしました。
 展望所に車を止めて下を覗いて見て初めて分かったのですが、前回来た道は、遥か眼下の谷底をうねる様に走っているのが見えたのです。ダムの工事が進み、以前は通行できた道が入り口付近で遮断され、工事用の道路になっていたのです。
 工事はずいぶん進んでいて、既に川はせき止められ頑丈な堤防が作られておりました。ダムの堤防は黒部ダムのようなコンクリート張りの頑丈なものではなく、大きな石を積み重ねて作ったような堤防で、ダムとしてのスケールはそんなに大きいものではないと思えました。
 出発前「工事現場から5キロぐらい離れたところの駐車場に車を止めて、そこから現場近くまでシャトルバスが乗せて行ってくれます」という電話案内を聞いていたのですが、現地へ着いて案内所の人にその事を尋ねたところ、シャトルバスは土曜日、日曜日しか動いていないとの事でした。
 結局、案内所で概要を聞き、工事現場へは行けずに戻ることになったのでした。それでも途中の道路沿いや、ダム工事現場付近の山肌は、雨に濡れた紅葉を淑やかに纏いながら、「ダムが出来たら又イラッシャイネ」と呼びかけているようでした。降雨のために撮影した写真は少ないですが、その時の模様をお知らせします。雨に濡れた紅葉もしっとりとして素敵ですね。
ダムの堤防(下流から撮影 同じく工事現場の遠景 遥か谷底を走る旧道


温泉と白山スーパー林道
 前と前後しますが、平成17年の10月26日から4泊五日の旅に出ました。目的は三つありました。第一は「紅葉狩り」、二番目は「温泉満喫」そして三番目が「ETC機能の確認」でした。目的地を長野方面の温泉地と決めて「日本の秘湯」の中から温泉を選ぶことにしました。これにも訳が有りました。ある旅行社の企画により、「日本秘湯を守る会」に加盟している温泉に宿泊して、そこの旅館のスタンプを貰い、このスタンプが十個貯まると、その泊まった宿の中から1つを選んで申し込むと(一回は無料で宿泊できる)という制度があって、既に十数年前からこの方法を利用して「日本の秘湯巡り」をしているのです。この頁の一番目にある「乳頭温泉」もその中の1つなのです。
 さて26日は午前10時頃に家を出て、愛車(ランクル)を駆って小牧ICから名神高速道路へ入り、中央道を通って、岡谷JCから長野自動車道へ入り、松本ICで降りて最初の旅館である松本市「崖の湯温泉内薬師平温泉」へ向かったのです。スタンプ帳の枠が後三つで満杯になるところまできておりました。
 小牧ICで車が高速道路に入る時に、ETC機能が本当に作動するのかどきどきしたのを覚えております。車の中と数メートル離れた車外に設置してある機械とがお互いに作動し合って、目の前のバーが独りでに開いてくれる、等ということがとても不思議な気持ちにさせられると同時に、いちいち車を止めてお金を出す動作をする必要もなく、スーッとゲートを通過してしまった時は何とも言えないスカッとした嬉しさが込み上げてきました。
 愛知県から岐阜県そして長野県へ、初めから山間を縫って作られた中央自動車道は、春の緑や秋の紅葉は正に自然が与えてくれた宝物を見ながらドライブしているようで、晩秋のこの日も期待にたがわず素晴しい紅葉絵の連続でした。
 旅館は松本市の南東方向に当たる山の中腹に在って、部屋の窓から西北方向に、松本平が眼下に広がり、その先にはアルプスの山なみが遠望できる素敵な場所で、露天風呂もこうした光景が充分に楽しめるように作ってありました。夜になり、松本平のほうに宝石をちりばめた様なきらきら光る街灯りが見られ、その先には案内書の案内の通り、アルプスの山なみのシルエットが旅情をそそる様に静かな佇まいを見せておりました。その日は食事の前に一回、食後に二回、寝る前に一回と合計四回入浴しました。神経痛に良く効くと言われているお湯ですが、肌触りが滑らかでとてもゆったりした気分に浸ることが出来ました。
 翌日は、遅い朝食をとり松本市内へ降りて、市内のスーパーへ立ち寄りました。朝食の後に風呂へ入ったのは言うまでも有りません。私は以前から見知らぬ土地へ行ったときに、その土地のスーパーの店に立ち寄るのがとても好きなんです。これは国内旅行に限らず海外旅行に行ったときにも同じです。スーパーの店の中を買い物をするでもなく、買い物カートにかごを載せて歩いている内に、自分がその土地の人になり切ったような気分に浸れるのが好きなんです。その後は、旅館の人の案内にしたがって近くの「美ヶ原高原」へ上って見ました。ここも過去に数回来た事のある処で、晩秋の高原は人影もまばらでした。ただ、眼前に広がる360度のパノラマ風景は見慣れたものとはいえ圧巻でした。ゆっくり時間を過ごし、午後3時すぎに旅館へ帰り、又昨日と同じように温泉三昧の時間を過ごしたのです。食事は山の中の温泉であっても松本市内が近く、日本海の海の幸が豊富に出回っているようで、山の温泉の食事と言う感じはありませんでした。食事は「民芸食事所・合掌庵」と云う、新潟の旧家を移築した建物と云うだけあって、素晴しい雰囲気が漂っていましたが、食事を運んでくる仲居さん(女性)が話好きなのには閉口しました。本人はサービスのつもりで話していると思うのですが、食事中にあまり話しかけられても・・・・と、少々食傷気味?二晩ゆっくり温泉を堪能した後旅館を出ました。朝食後に又一風呂浴びたのは何時もの通りでした。
宿泊のスタンプも忘れずに、2泊分を押してもらいました。それらの模様を次にお知らせします。
 
薬師平温泉夕食 左同 翌朝窓から松本平を望む
前同(遠景は日本アルプス 左同 美ヶ原高原美術館前
薬師平温泉正面
 その日(28日)は移動日です。崖の湯温泉とは長野自動車道を挟んで北方向に当たる長野県南安曇野郡安曇野村の温泉の事で、そこの「坂巻温泉」が次の宿です。釜トンネルの手前、梓川の橋のすぐ傍にある宿で、元々この宿は梓川の対岸に在ったものを老朽化等の理由で昭和19年に現在地に移転したのだそうです。温泉は炭酸水素質の透明な温泉で、神経痛・疲労回復に効能が有るとか。ここの温泉は湯の温度が77度もあるそうで、館内は全てお湯を利用した床暖房を施してありました。食前食後の温泉三昧は昨日と同じで、梓川のせせらぎを聞きながらの露天風呂は、(正に天国は此処にあり)と云う感じで心行くまで温泉を満喫しました。此処でも宿泊スタンプを一個ついて貰いました。スタンプカードが満杯になったので新しいカードを一枚貰って宿を後にしました。
梓川に架る橋(旅館窓から) 左同窓外の紅葉を 坂巻温泉の夕食
露天風呂入り口にて 露天風呂(右下梓川)
 翌29日は紅葉の名所「白山スーパー林道」です。この林道は過去に2回ほど来た事があるのですが、何れの時も閉鎖後とか降雪のために通行止めとかになっていて上ることが出来なかった経験がありましたので、今回はその分期待が膨らみました。
 安曇野から国道158号線で平湯方面、安房トンネルを抜け、岐阜県高山市で41号線に入り、次に国道471号線から360号線へ入りました。この途中にあった「天生峠の山道」の紅葉も少し盛りを過ぎた頃とはいえ、正に紅葉のトンネルと云った感じで運転中の目線にも文字どうり目に焼き付くほどの紅葉のご馳走を見ることが出来ました。
 白川郷から「白山スーパー林道」へ入りました。ピーク時を過ぎたと云うこともあってか、車の数も思ったほどではなく,どちらかと云うとスーイスイと云う表現が当てはまるようなドライブでした。曲がりくねった道を登る時も、すれ違う車は殆どなくて、眼前に展開する紅葉群をしっかり堪能することが出来ました。途中見晴らしの良い所で、数台の車が止まっており、数人の人達が景色を眺めたり、カメラに収めたりしておりましたが、私はこのルートを反対側の出口まで通りきってしまおうと考えてそのまま車を進めました。ところが、山間の道は日暮れが早い感じで午後3時前だと云うのに、既に何となく夕靄が降りてきたような雰囲気が出てきましたので、コースを三分の二位進んだ所に在った「姥が滝」と云う所で車を止め、辺りの紅葉を心ゆくまで堪能して記念の写真を撮りました。帰りも同じ道を白川郷へ向けて走り、今夜の宿泊先である長野県南安曇郡穂高町の有明「中房(なかぼう)温泉」に向かいました。
 標高1462mの北アルプス中腹にあるのが「中房温泉」では、携帯電話の不感地域である為に、衛星電話を使って通話していると云うことを聞き予約のときに驚かされました。衛星電話なるものが有るという事もこの時に知った次第です。安曇野から旅館まで中房川に沿って続く道路は正に「林道」そのものであり、道幅も狭く、対抗車両も殆どありません。少しずつ夕闇が迫って来ているようですが、走っている林道の周りは正に「紅葉のトンネル」と云った表現がぴったりのすばらしい景色でした。途中何回か車を止めてカメラのシャッターを切りました。
 この温泉の特徴は広大な個人の屋敷に温泉を掘って、これをお客に提供していると云うことで、此処の売りは、降る様な満天の星空と、36箇所の湯口、それに「白滝の湯・御座の湯・滝の湯・小鍋の湯・蒸湯・飯蒸の湯・薬師の湯・小弾正・大弾正・月見の湯・遊の湯」と云うように入りきれない程の露天風呂の数でした。生憎の雨模様であった為に星空は見えませんでしたが、傘を差して時間の許す限りの「温泉の梯子」をしてその夜はゆっくり休みました。この旅館は11月に入ったら来年の3月まで閉鎖するんだそうで、既にその準備をしていたようです。旅館は建物が古く、料金が安いところからか、スキー客を中心にした人達が多いと云う話でした。温泉も良いけど、これだけ数が多いと迷ってしまいそうです。驚いたのは、旅館の玄関にテレビ番組の「アルプスの少女」に出てくる様な白に茶色の斑の有る大きな牧用犬がお客の周りをうろうろ歩き回っていたことです。中には既にこの犬と顔見知りのお客も居たようで、親しげに声を掛けていたのが印象的でした。ただ私はこの人なつっこい大きな犬の動きを見ていて、ふと「衛生上大丈夫なんだろうか」と思いました。玄関でスタンプカードにスタンプ一個を押してもらいました。
 翌30日は午前10時に旅館を出て帰宅の途につきました。帰り道にも感動の余り何度か写真を撮影してきました。「少し盛りを過ぎた紅葉狩り」でしたがそんな事には代えられない大事な心の安らぎを体一杯に詰め込んで帰ってきました。以下その模様をお知らせします。
スーパー林道入り口付近 「姥が滝」前展望所にて 左 同
前 同 帰りの道すがら 途中の滝をバックに
林道からの帰り道 前 同 前同(今通ってきた道)
前同帰り道 その翌日中房温泉前にて 左 同
中房温泉への林道(帰り道) 左 同 左 同
前 同 前 同 前 同


北海道の思い出
5年前「北海道の五稜郭」を見てみたいと思い立って出かけたのがこの旅のきっかけです。五稜郭のことは別の頁(城・城跡巡り)で紹介しておりますので此処では特別には触れません。貧乏人の心理で「せっかく此処まで来たのだからもっと回って帰ろうかな」と思い立って回り始めたのがこの時の旅でした。名古屋から自分の車で北海道に渡り、北の台地をその愛車で気の向くままに走ってみるのも良いんじゃないかなと考えたのです。この辺が「退職後仕事をしていない気楽さ」でしょうか。「道央自動車道」を北上し、士別からは国道で稚内まで一直線でした。高速道路が工事中で、殆どの所が片側一車線走行の為、運転にはかなり神経を使い苦労をしたのを覚えております。
 稚内から宗谷岬・紋別・網走・と、北海道の東北側海岸道路を走って、「日本最北端の地」「網走刑務所」等に立ち寄りました。
 網走から知床半島方向へ走り、「羅臼岳」麓の国道334号線を走って知床岬を横断し、北海道の南側海岸道路へ出て釧路平野を走り、「襟裳岬」に着きました。知床岬横断中の「林道」の雰囲気や、釧路平野を走行中に見かけた「大掛かりな馬の牧場」風景などは、正に北海道ならではの雄大な風景で心から満喫出来ました。
 襟裳岬から北上して日高山脈の中腹に位置する「狩勝峠」を見に行ったのです。この狩勝峠には特別な思い出があり、若い頃職場の関係で「狩勝峠を走る汽車」に乗る機会があって、汽車がこの峠に差し掛かった時に、「今正に遥か山並みに沈み行く夕日」が目に入り、その後、年を経てもこの時の印象が強烈に脳裏に焼きついていたのです。せっかく此処まで来たので、あのときの峠を一目見ておきたいし、出来れば汽車の線路と一緒に写真を撮って置きたいと考えました。ところが、峠は在ったのですが(勿論ですよね)肝心の汽車の線路が無くなっていて、線路の跡地のみが物悲しい風情を漂わせうねうねと続いていたのです。私は内心で「此処にも開発の波は容赦なく押し寄せているんだな」と感じましたし、同時に改めて自分の年の事を考えて切なくなってしまいました。その後は国道274号線で夕張へ出て又「工事中の高速道路」に入り、函館に帰って来たのです。
 途中はっきりした場所は覚えていませんが、道路の脇の畑に茶色の小さな山が何箇所もあるのが見えたのです。車を降りて確認したところ、なんとそれは「ジャガイモを積み上げた」ものでした。付近に居た人に尋ねたところ「あれは売れなくてこのまま捨てるものです」と聞いて二度びっくりしました。
 フェリー埠頭では、船の時間待ちの間に大変な数の鴎の歓迎を受け、長い待ち時間が殆ど気になりませんでした。
 この旅の間に宿泊したホテルや旅館は全て現地で申し込んだもので、敢て予約しないでこういうやり方もかえって趣があるような気持になりました。
宗谷岬(最北端の地) 左 同 間宮林蔵の銅像
網走刑務所前 ノシャップ岬(稚内)
流氷観覧個所 知床岬(国後・択捉等) 左 同
狩勝峠 左 同 襟裳岬
前 同 左 同 左 同
ジャガイモの山 寄ってくる鴎 左 同
フェリー埠頭